プロ選手も愛用!!サイクリング時にパワーアップが期待できるインソールとは?

サイクリストがオフシーズンにやっておくべきことの1つに、来シーズンに使う機材の選択があります。中でも身体に触れるサドルやシューズは、快適性に大きく関わり、ライディングポジションやセッティングにも影響を及ぼすため、特に重要です。選手たちはサドルやシューズを交換するときは、オフシーズンにいくつか試して、調子を見ながらシーズンの開幕を迎えるようにしています。今回は、シューズの中に装着するインソールについてお話したいと思います。

常識となりつつあるインソール

本格的にロードレースに出場した経験のある人や、ロングライドなどで自分の限界に挑む走りをする人たちの中には、インソールの専門メーカーの存在を知っている方も多いのではないでしょうか。

水泳や柔道といったシューズを履かないスポーツはともかく、専用のシューズがあるスポーツなら、より高いパフォーマンスを求めて高性能インソールを使うのは常識となりつつあります。

また、最近は量販店などでもスニーカーと合わせてオプションタイプのインソールをオススメされる機会も増え、日常においてもインソールを使う人が増えています。

そして、一度、オプションタイプの高性能インソールを使った人は、みんな口を揃えて「二度と純正には戻れない」と言います。

レーサーシューズの場合、1万円以下の手頃な価格のシューズも、プロが使うような5万円以上するシューズでも、純正インソールは共通というメーカーは少なくありません。

その理由は、インソールの重要性が低いからではなく、コストをカットするためなんです。

純正インソールとオプションタイプの高性能インソールの違い

純正インソールはフィット感やクッション性が向上するために装着されています。

一方、高性能インソールはそれにプラスして、足の弱点をサポートし、シューズ内で足の機能を高めてくれます。足の弱点とは、例えば、土踏まずを形成するアーチが崩れる扁平足や外反母趾などです。

純正インソールとの違いは一目瞭然です。

純正インソールは断面がほぼ平面ですが、高性能インソールは開発したメーカーの考え方によって、素材、断面形状や硬度、柔軟性、グリップ力などが大きく異なります。

また、求められる機能や性能によって、さまざまなタイプがあります。

サイクリングの場合、サドルに座って行なう競技なので、基本姿勢も他のスポーツと大きく違います。他のスポーツのように着地がないため、クッション性能の向上は必要ありませんが、ソール側の強度、剛性が高いため、基本となるフィット感は高い性能が求められます。

さらに1分間に100回転近いペダリングを行なうため、シューズ内で足が滑っているとパワーロスをするだけでなく、発熱による不快感や摩擦によってマメができてしまう可能性があります。

そのため、サイクリング用の高性能インソールはグリップ力が高く、パワーの伝達性を向上させるため拇指球周辺が薄くなっている製品が多いのが特長です。

「ソールスター」の『ニュートラル・ゼロ・ポジション』という考え方

今回、取り上げるのはエキスパートライダーの使用率が高いドイツ製の「ソールスター」です。

インソール「ソールスター」はこちら

ワウト・ファン・アールト、グレッグ・ファン・アーベルマート、ステファン・キュング、ベン・キング、オリバー・ナーセン、パスカル・アッカーマンなどといった名だたる有名選手が使っており、世界のトップレースでパフォーマンスを発揮しています。

「ソールスター」の考え方の根本となっているのが『ニュートラル・ゼロ・ポジション』です。これは、『すべての足の最適なポジションは同じ』で、最大の安定を得られる位置に足を配置するという考え方です。

このポジションにするため、メーカーによると下図の3つの重要なポイントがあるといいます。このコアな部分にカーボンを使うことによって、次のような効果が期待できます。


1.足の後部での最大限の安定性 :
かかと部分の強力なサポートにより、後部の足の形のくずれ(回内化)を防ぎます。ペダリング中、足首の角度をキープするために使う脛骨の筋肉の後部をサポートします。

2.同時に足の前部の安定性 :
特殊な側部のサポートにより、前部の足のくずれ(回外化)を防ぎます。足先でペダルを踏みこむときに使う腓骨の筋肉をサポートします。

3.中足骨指骨間の第1関節を低くする :
ペダル軸への距離を短くすることで、動力伝達効率を高めます。


結果として、足が継続的に本来あるべきポジションにクランプ(締め金)で押さえつけているように収まります。このセットアップをソールスター 『スタビリゼーション-デルタ』と呼んでいます。

ケルン体育大学のアキム・シュミット博士が年齢やパフォーマンスレベルの違う、様々な25人のサイクリストに、各自のサイクリングシューズでの短距離テストを、通常の純正インソールと、高性能イソール「ソールスター」で実施しました。ヨーロッパスポーツ科学会議で発表した検証結果によると、平均して出力が6.9%も上昇したといいます。

Probikeshopスタッフ“うっちー”が出力アップテストに挑戦

シューズにインソールを入れるだけで、パワーアップするという夢のような話。休日にロングライドなどを楽しむスタッフ“うっちー”がテストに挑戦しました。

前述のケルン体育大学のようなテストはできないのでスマートトレーナーの「Xprova Noza S」を使って、ズイフトのFTPテストで出力が向上するかを試してみました。

“うっちー”にとっては初めてのFTPテスト。2回目の方がコツをつかんで結果がよくなる……などの不確定要素もありますが、1回目は純正インソールでトライ。

心拍数は190bpmを超えるほど追い込んで、228W。後半はパワーダウンしたものの、上出来といえる数値が出ました。

3時間ほど休憩を取り、「もう大丈夫です!」というので、いよいよソールスターを装着。

使ったのは「パフォーマンスを重視するサイクリストのため、パワー伝達の改善と快適性の向上を重点においた」という「ソールスター・コントロール」。

シューズに足を入れるや「足にフィットする感じがあって、なんとなく速く走れそうな気がします」とのこと。純正インソールとの違いはすぐに分かったようです。

キツい……。

25歳で若さと体力には自信があっても、午前中に全開で追い込んでいる“うっちー”の表情は早々に苦しそうになり、出力している数値も落ちてきてしまいました。

折角、休日出勤してまでやったのに……と思っていましたが、なんと後半になっても数値の低下が小さい。しかもペダリングに乱れがなくなり、いかにもスムーズに走っている。絶対的な数値は高くないが、残り5分を過ぎてからは、パワーも前回を上回る勢いに。

233w(FTP値)。

比率で言うと、メーカーの言う数値には及ばないものの、同日にやったことを思えば3%の出力向上は立派な数字。1時間走って、3分もの差をつけたと思えば、圧倒的に強くなったと言ってもいいでしょう。

出力があがった理由は、ペダリングがスムーズになり、ロスしていたパワーを効率的にペダルにかけられたからだと考えられます。

「ソールスター・コントロール」は、私(菊地)もスペシャライズド・アーレスと組み合わせて使っています。

このシューズはニットタイプのアッパーを採用することで、足を包み込むようにホールドしてくれるのが魅力ですが、私には少々、幅が狭い。

しかし、「ソールスター」を装着することで足裏側の幅が拡がり、ホールド感も適切になりました。かなり硬いインソールなので、最初は違和感がありますが、数回のサイクリングを経れば、しっくりと感じるようになります。

目に見えないインソールに約15000円も使うのに躊躇する人も多いでしょう。しかし、家に例えるとインソールは内装や家具のようなもの。室内に不具合なく、使い勝手が良くなってこその快適です。自分にとって、最高のインソールを見つければ、かなり手頃な価格で極上の快適性を手に入れることができますよ。

【Probikeshopがオススメするシューズ】

「GIRO」や「fi'zi:k」といったスタイリッシュだけど、日本人には幅が狭めなシューズも「ソールスター」と組み合わせることによって、快適に履けるようになる可能性があります!


「GIRO」のシューズはこちら


「fi'zi:k」のシューズはこちら


本記事でご紹介したインソール「ソールスター」はこちら


本記事で、“うっちー”がチャレンジしたズイフトのFTPテストで使った「Xprova Noza S」はこちら


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菊地武洋

菊地 武洋(きくち たけひろ)

自転車ジャーナリスト。
80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。
近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。
レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。