夜を遊ぶ、夏の味わい。Night Rideのすすめ

梅雨が明け、本格的な夏がやってくると、ナイトライドの季節のはじまりです! 最近は室内でオンライントレーニングもできますが、やはり自転車に乗るなら外で走るのがイチバン。日中の暑さを避けて、夜、街をポタリングしたり、サイクリングロードを走ったりしてみると、新しい景色に出会える喜びもありますよ。

まずは、昼と同じコースを夜に走ってみよう!

さて、今さら猛暑の中を走る危険について、数字を並べて説明するまでもないでしょう。気温30℃を越えれば、カラダを動かすの適切な環境でないことは明らかです。

酷暑が続く最中は、夜明け前に走り出して、朝9時には家に戻る。そんなスケジュールで走るサイクリストも数多くいます。しかし、折角の夏ですから、夜に走ってみましょう。

ナイトライドをより楽しく走るコツは、昼に走ったことのあるコースを走ること。

なぜなら、昼とのギャップこそが、夜に走る醍醐味だから。日中、時速20kmで走っていても面白くないサイクリングロードも、真っ暗になるとスピード感が断然違います。圧倒的に速く感じるのは、視界に入ってくる情報量が減って、不安に感じるからです。

まずは安全で走り慣れたコースから、少しずつ経験を積んでいきましょう! 歩行者やランナーが多く、路面コンディションの悪いコースはナイトライドに適さないので気を付けてくださいね。

自転車だけが楽しめる感覚がある!

初心者なら、入門コースとして、人けがなくなった都会をオススメします。

都心や湾岸エリアで、都会的な夜景をハンティングするコースは、やはりナイトライドの王道。

高速道路の高架下やライトアップされた建築物など、昼間に見ても気に留まらない構造物が、夜になると俄然、魅力が増すこともあります。

暗さを楽しむならサイクリングロードや、農道も面白い選択になります。

暗闇の中、路面に集中して真っ直ぐな道を走っていると、浮遊感や疾走感、開放感といったチルな感じになります。

これはランニングなどにはない感覚で、自転車は足を止めても滑走することが影響しているといわれています。静かで暗い中、一定のペースでペダリングしていると、「サイクリングが考え事に適している」のも、すぐに体験ができるはずです。

湾岸エリアは夜景ライドのベストコース

今回は東京・江東区にある若洲海浜公園から、豊洲市場に隣接する豊洲ぐるり公園まで、ポタリングに出かけてみました。

Probikeshop(プロバイクショップ)で扱っているドイツの完成車ブランド、SERIOUS(シリアス)『Valparola 105 LTD schwarz』と手を離さずに補水できるCAMELBAK(キャメルバッグ)『チェースバイクベスト』を借りて。

※商品は、近日発売予定

SERIOUS(シリアス)『Valparola 105 LTD schwarz』


CAMELBAK(キャメルバッグ)『チェースバイクベスト』(プラム/ブラックプラム)
『チェースバイクベスト』リザーバーが付いていて、暗い夜道でも手を離さすに補水できるので安心感が高く、氷入りドリンクにすると背中も涼しい。

若洲海浜公園には怪獣が向かい合っているような形状から“恐竜橋”とも呼ばれる“東京ゲートブリッジ”があります。

サイクリングロードが併設された公園で、自転車専門誌やアウトドア雑誌の撮影でも頻繁に使われています。私も通い慣れた公園です。

この公園の穴場感は、何度訪れても魅力的。夜間は近隣にレストランやカフェもなく、夜釣りをする人ぐらいしかいないので、静かで暗い。そこにドーンとそびえる東京ゲートブリッジ。羽田空港へランディングアプローチする飛行機を間近にみることもできます。

若洲海浜公園をスタート地点に選んだのは、東京ゲートブリッジがレインボーブリッジよりもライトアップが終わる時間が早いから。(レインボーブリッジは0時、東京ゲートブリッジは22時)

夜景を目的に走るなら橋やスカイツリー、東京タワーなどの特別ライトアップについて調べておきましょう。たとえば、東京ゲートブリッジは10月まで、以下の3日は特別なライトアップが楽しめます。

・2022年8月1日(月)水の日/ブルー
・2022年10月1日(土)ピンクリボン月間/秋草色
・2022年10月16日(日)臓器移植法施行日/青葉色

若洲海浜公園から豊洲ぐるり公園までは約10km、坂もないので初心者でも簡単に楽しめるコースです。

気を付けることがあるとすれば、交通量の多い道を使わないこと。スマホのナビで調べると国道357号線を走るように誘導される場合もありますが、国道357に合流する一本手前を左折し、新曙橋を渡るルートで行けば安心です。

いろんなことを考えながらのポタリング

国内でも屈指の酷暑エリアに住んでいる私にとって、避暑サイクリングは欠かせない夏の風物詩。若い頃は人の少ない工業団地などで練習していたこともありますが、今や昔。今回は取材なので事前にスタートとゴール地点にある2つの橋の建設費を調べてみました。

時代も構造も違うので、総工費を比較する意味はないのですが……、

-東京ゲートブリッジは1125億円、
-東京レインボーブリッジは1280億円。

ちなみに、

-東京スカイツリーが650億円、
-東京ドームが350億円。

そして、「それだけあったら……」という、どうでもいいようなことに考えを巡らせながら、小一時間で豊洲ぐるり公園に到着。

こちらの景色も見慣れたものですが、まったく見飽きない見事なもの。女子ウケもいいコースなので、一度走ってみて下さい。そうそう、9月以降は寒暖差が激しくなるので、ナイトライドのときはウインドブレーカーも忘れずに。

上質なライトを使おう

積極的に夜を走るなら、ちょっと贅沢なライトを選びましょう。明るいライトがあれば安全に、不安なく走れます。理由は2つ。

1つは言うまでもなく、暗い部分を照らして視界を作り出してくれるから。そして、もう1つは対向車や歩行者に自分の存在をアピールしてくれるからです。

急にUターンする人や、最近はイヤホンをしている人も多くいます。なので、前方を照らし、自分の存在をアピールすることは大切です。

どれぐらいの明るさのライトを買えばいいか。諸説ありますが、繁華街を走るときは、ライトの明るさはさほど必要ありません。しかし、対向車や歩行者にとっては、街の明るさにライトが紛れ込んでしまいます。

そこで自分の存在をアピールするため、明るいライトを使うか、点滅タイプの補助ライトを使うのも有効です。ちなみに点滅タイプだけでは、道路交通法上、前照灯の扱いになりません。常時点灯しているライトを必ず使いましょう。

明るいライトを使うメリットは、他にもあります。たとえば、右折で交差点内に進入してくる対向車や、左折する車が早い段階で気付いてくれるので、道を譲ってくれることが増えます。この恩恵を一度経験すると、二度と暗いライトには戻れません。

ただし、対向車や歩行者もいるので、無闇に明るくすると迷惑にもなります。絶対的な明るさも必要ですが、ライトの角度には気を付けましょう。基準は10m先がよく見えるような角度がひとつの目安です。

明るさに関する単位はルーメン(光束)、ルクス(照度)、カンデラ(光度)などがあります。どの値を重視するかは目的によって異なりますが、自転車用に開発されたヘッドライトであれば、目安は400ルーメンといわれています。

環境にもよりますが、400ルーメンあれば、まず照射能力に不足を感じません。また、フルパワーで400Wよりも、さらに大きな出力のライトで少し絞り気味に使った方が、放熱面なども余裕を持つことができます。

サブライトがあれば、安全性がさらにアップ

ブルベ参加者や夜間走行に慣れている人が愛用するのが、ヘルメットにマウントするサブライト。視線の向く方向に光源が向くので、コーナーリング時の安心感がグッと増します。パンクやメカトラブルなど、万が一の時も手元を明るくできるので作業がしやすく便利です。

今回は自転車に装着するメインライトにCATEYE(キャットアイ)の『VOLT800(ボルト800)』、サブライトに『VOLT400(ボルト400)』を選びました。

VOLTシリーズは互換性のあるカートリッジ式バッテリーのため、どちらのバッテリーが不足になったときは差し替えて使うこともできます。また、バッテリーが小型なので予備を持つのも苦にならないため、ナイトライダーの間では定番中の定番といえるライトです。

800ルーメン(約2時間照射可能)


400ルーメン(約3.5時間照射可能)


200ルーメン(約8時間照射可能)


200ルーメン+200ルーメン

※自転車から道路標示100まで、約10m


テールランプで存在をアピールしよう

進行方向のライトが明るいと、それだけで安心感は高くなります。

しかし、都市部を走るときの安全面から考えると、より重要なのは後続車へのアピールです。

死傷事故の統計をみると、追突事故は死亡率が高い。それは減速せずにクルマに追突されてしまうためです。言い換えれば、しっかりと自らをアピールすることで、安全性を高めることもできます。

道路交通法上、後方へのアピールとして反射板の取付けが義務づけられています。

ただ、もっと安全に走るため、発光式ライトを2つ、高さが異なる位置に取り付けましょう。

実際にテールランプを複数つけて走ってみると、クルマに追い抜かれるときの車間が、それまでよりも広くなるのを感じます。これは言葉以上に大きな安心感を生みます。欧米では前方、後方ともにライトの常時点灯の安全性の高さが統計データで示されています。

最近は、後方への安全策が重要だといわれ、ヘルメットやバックパックにつけるライトや、加速度センサーを利用して減速するとブレーキランプとして強く光るテールランプやスマートヘルメットといったものも増えてきています。

今回、使用したオススメのバッグライトは、CATEYE(キャットアイ)の『TIGHT KINETIC(タイトキネティック)』と『ORB-Rechargeable(オーブリチャージャブル)』

加速度センサーで減速を知らせるCATEYE(キャットアイ)の『TIGHT KINETIC(タイトキネティック)』


どこでも取り付けやすいCATEYE(キャットアイ)の『ORB-Rechargeable(オーブリチャージャブル)』


安全には十分気を付けて、ナイトライドの世界を楽しんでみて下さい!

(写真:長谷川拓司)

<関連記事>

日本初上陸!素直さが魅力の『Pearl Cycles(パールサイクルズ)』
2022年の自転車業界をベテランジャーナリストが予想!
その他の記事はこちら
コンテンツトップに戻る
ECショップはこちら


菊地武洋

菊地 武洋(きくち たけひろ)

自転車ジャーナリスト。
80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。
近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。
レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。