2022年の自転車業界をベテランジャーナリストが予想!

Probikeshopでもお世話になっている日本を代表するベテラン自転車ジャーナリストの菊地武洋氏に、2022年の自転車業界について様々な部分にフォーカスしてインタビューをしてきました!! コロナ禍の影響を受けた一昨年、昨年の自転車業界から今年はどのような展開を迎えるのか。注目の情報をお届けします。

人気のマイクロモビリティが品薄なワケとは?

昨今の自転車業界は、まず需要に対して供給がまったく追い付いていない状態です。

マイクロモビリティという分野において自転車の人気が順当に伸びてきていたところに、コロナ禍。密にならず健康的に体を動かせるということで、さらに自転車に注目が集まり、爆発的に需要が増えてしまいました。

供給が追い付かないので、ショップも売る物がなくて困っています。
一時はシマノのブレーキパッドが大変品薄になり、ショップに在庫はあるけれど、店頭には一つしか置かないとか、転売ヤーが横行するといったひどい事態に陥ってしまったこともありました。

シマノはマレーシアに大きな工場を持っているのですが、デルタ株が蔓延したときに感染爆発が起き、工場が稼働できないほど大打撃を受けてしまったのです。自転車業界にとって、中国や台湾同様、マレーシアの状勢が部品の供給体制にダメージを与えるんです。

こんな状態に陥ったお陰で、私もずいぶん国際情勢に詳しくなりました(笑)。物は中国で生産できているけれど、コンテナは米国にあるから物が運べない状態だなとか、カーゴ便が飛ばないからヨーロッパから商品が持って来られないなとか。自転車業界も世界情勢とリンクしていることが、このコロナ禍でよくわかりましたね。

ですから、必要な物を見つけたら、すぐに入手しておくことをお勧めします。私も、消耗品は事前にストックしておくようにしています。次、いつ手に入れられるかわかりませんから。

さらに値段も上昇傾向です。下がる要因も見当たりませんから、今のうちにある物をあるだけ手に入れておくことをお勧めします。

また、具体的なメーカー名はここでは控えますが、開発は終わったけど、発表ができていないというメーカーさんも結構います。ですからコロナが落ち着き、生産・出荷体制が整ったところで、新しい展開が広がっていくと思います。今は我慢の時期なので、今後に期待して欲しいですね。

2022年に楽しみなことは? ~自転車とデジタルの融合~

自転車とデジタルとの融合が、今後どのように発展していくか楽しみです。

例えばCannondale(キャノンデール)の『Synapse』という自転車は、後方についているレーダーが背後に近づく車を知らせてくれたり、ライダーの視認性を高めるために前後のライトが明るさを自動コントロールしてくれたりします。

これらはすべて、スマホのアプリでカスタマイズできる仕組みになっています。自転車とデジタルがどんどん一体化し、進化し、ますます安全性が高くなり、面白くなっていくなっていくことを期待しています。

先日、ウェラブルデバイスのショーがあったのですが、私が個人的に興味を持ったのは網膜投影のアイウェアです。網膜投影は、とても画期的な機能で、目の網膜に直接画像を投影することによって画像が認識できる仕組みです。つまり、視覚に障害がある方でも網膜投影によってはっきりと画像が認識できるようになるのです。

皆さんは道がわからないとき、google mapで検索して、google mapの指示通りに進むことがありますよね。それを、網膜投影のアイウェアをかけると、目の前に開けている景色に曲がるべき位置に矢印とか「あと〇メートル」といった表示がされたりしながら、道案内をしてくれるわけです。
さらに赤外線カメラと合体すれば、真っ暗闇の中でも迷わず自転車で目的地にたどり着くことができます。

私たちは自転車に乗るとき、風よけのためにアイウェアを必ずかけます。だから、このアイウェアに網膜投影の機能が合体してほしいと思っています。GPSを搭載していれば、例えば峠道を走っているとき「3分後に自動車とすれ違います」とか「2分後にバイクが追い抜いていきます」といった情報が視界の中で得られるのです。

スピードを出しながら自転車に乗っているとき、そういった情報をサイクルコンピューターのモニターに表示されても逐一確認できませんから、直接情報を視野に入れてもらえると安全性も高まります。

以前Google Glassが発売され、注目を浴びましたが、2015年に一般販売が中止になりましたね。

当時、話題になったモデルは発売されなかったので、なんとも言えませんが、個人情報をどのように扱うか危惧されたんでしょうね。一旦開発が中止になりましたが、やはりニーズが高かったので、去年から法人限定で販売が再開されました。いろいろな問題をクリアした上で個人向けに販売される日も、そう遠くないと思います。今後さらにDX化が進み、おもしろい新製品が続々と出てくれないかと期待しています。

また、盗難防止という観点で注目しているのは、オランダ生まれの電動アシスト自転車『VanMoof(バンムーフ)』です。Apple社のエアタグに対応しており、万が一盗難に遭ってもデジタルデバイスを使って追跡することができます。大切な愛車が盗まれると、これまでは涙をのむしかありませんでしたが、DXとの融合化が進むことによって被害も少なくなっていく。そういった意味でも、DX化が進んでいくことを期待しています。

2022年に楽しみなことは? ~シマノのコンポーネント~

今年は、シマノが『105』という人気コンポーネントがモデルチェンジされるでしょう。かつてはスポーツエントリーといわれていたクラスですが、より安価なクラスでもスポーツ走行に対応できるようになり、もはやスポーツエントリーというよりはプレミアムエントリーという感じです。

2021年に上位モデルの『デュラエース』と『アルテグラ』が無線電動変速シフトとなったので、次の『105』も同様になると思うのですが、楽しみですね。

“アパレル”の今とこれからについて教えてください

シンプルなデザインのウエアは今後も継続して人気だと思います。あと今(1月)はダウンジャケットみたいなウエアもはやっていますね。

グラベルロードのようにゆるいオフロード系バイクが注目されつつあるので、グラベルロード用のウエアも続々と登場してくると思います。

それと、コロナ禍で遠くに行くことができないので、せめて近隣を自転車で回ろうと自転車に乗り始めた方が増えた気がします。そういう方々には、ぜひ専用のウエアを着ていただきたいと思います。

パンツ系に関しては、高級な「ランニング」パンツを履くより、安い「レーサー」パンツを履いた方が良いと思います。

サドルにまたがって、仮に1分間に60回こぐとしたら、1時間で3600回の摩擦が股間に生じています。

縫い目のあるランニングパンツを履いてしますと摩擦の影響を大きく受けてしまいます。

レーサーパンツであれば縫い目がなくてパッドがついていますから、摩擦がゼロになるわけではありませんが、限りなく抑制されます。

ただ、逆にウエアに関してはレーサー専用かつできるだけ高級なウエアを選ぶことをお勧めします。

特に初心者の方はどうしても安価なウエアに流れてしまいがちかと思いますが、安いウエアは高級品と比較して伸縮性や耐久性、縫製などあらゆる面で劣ります。

きちんと質の良いウエアを着るだけでサイクルライフが変わるくらい快適になりますよ。

“タイヤ”の今とこれからについて教えてください

タイヤに関してだと、まずホイール回りが進化してくれるといいなと思っています。

私たちが乗っているような最新モデルはチューブレスレディでシーラントが入っているのですが、現状このシーラントの出来が今一つなのです。

パンクしてもシーラントが流れ出てある程度穴を塞いでくれるので、空気が一気に抜けないのがこのチューブレスレディの良いところなのですが、シーラントは乳化ゴムなのですぐに固まってしまいます。ですから、3カ月に1回程度交換する必要があります。その分、しっかり穴が開いたときはしっかり塞いでくれるのですが…。

一方、長持ちするシーラントは固まりづらく、穴からダラダラ流れ出てしまいがちです。長持ちしつつ、穴が開いたときはしっかり固まってくれるシーラントが登場して欲しいと思っています。

それと、最近の傾向としてはタイヤがどんどん太くなりつつあります。

タイヤが太ければ太くなるほど内圧を下げることができるので、クッション性が向上します。つまり快適性が向上するのです。もともとタイヤの幅は23mmくらいがスタンダードだったのですが、25mmになり、今は28mmくらいがスタンダードになってきています。

私としては25mmの時代はもう少し長いだろうと思っていたのですが、あっという間に28mmの時代が来ました。

コロナ禍で多くの方が自転車に乗るようになったことも、一因でしょうね。

タイヤが太いとタイヤ自体の重みが増しますから、加速する際は優位ではありません。ただ一旦走り始めてしまえば、タイヤが太い方が安定しますから、つまり一長一短ですね。

タイヤは今後もどんどん太い方に進化し続けていくと思います。

“ハンドル”の今とこれからについて教えてください

高級車の流れでは、ステムと一体化したハンドルがもっと出てくると思います。ただ、とても高価で、カーボン製だと10万円近くしますので、もう少し良心的な値段の物が出てきて欲しいですね(笑)。

少しずつ値段が下がってくれば、メジャーになっていくのではないかと思います。

また、今後グラベルロードバイクの人気が高まるのに伴い、グラベルロード用のハンドルも種類が増えていくと思います。グラベルロードはもともと欧米で人気だったのですが、私が予想していた以上に日本でも受け入れられています。

興味のある方は、ぜひ乗ってみていただきたいと思います。河川敷や林道などのオフロードでも走れますし、ツーリングもできます。車でいうと、SUVのように多用途で乗れる自転車です。早く走ることが目的ではないので、早く走りたい方にはお勧めしませんが、みんなで遊びに行くときには大活躍してくれます。グラベルロードは今後ますます注目されていくでしょう。

“自転車本体”の今とこれからについて教えてください

なかなか自転車が入荷しづらい現状ですので、気に入った自転車が入荷されることを待っているより、思い切って今ある自転車に乗った方が良いかもしれません。

それと、自分のサイズに合った自転車に乗ることが大切です。例えば、靴を買うとき、気に入った靴があったとしても、1cm小さいサイズだったら履き心地に違和感もあり足に悪いですので購入しないと思います。

それと同じで自転車も、自分に合ったサイズの物に乗ることで快適性が得られます。

サイズさえ合っていれば、多少好みの色やデザインではないとしても、乗りはじめれば楽しくなってくると思います。

好みの色やデザインの自転車を待っていても、自分の手元にいつ来るのか分かりません…。コロナの感染状況が悪化すれば、さらに入荷状況も悪くなることも考えられます。

ですから、もし「好みやデザインで購入を迷っている」ならば、まずは思い切って乗ってみて自転車の楽しさを感じてみてほしいですね。

Eバイクの可能性について

Eバイクは、コロナ前からヨーロッパでは絶好調で、さらに加速が進んでいます。通常のスポーツバイクより単価が高いにも関わらず、ペダルバイクよりEバイクの方が安定して供給できていたので、昨年もかなり売れました。今後も売れていくとは思うのですが、人気があるため価格はどんどん上がってきています。

ProbikeshopでもbenelliのMANTUSの売り上げが好調ですが、売り切った後はProbikeshopでも入手困難になることが予想されます。

今現在40万円のプレミアムクラスの街乗りEバイクでももう在庫が無くなっています。

イタリアンブランド「Benelli」がプロデュースした「MANTUS 27 TRK」の魅力に迫る

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バッテリーは、最近の物ですと100km程度は当たり前のように走れます。メーカーさんによっては200km走れるものもあります。バッテリーの容量が増したこともありますが、パワーユニットが進化して出力効率が上がってきていることも長く走れるようになった一因でしょう。バッテリーもさらなる進化が期待できます。

ロードバイクを楽しんでいる方々に一言、お願いします

まずは、ケガだけはしないようにしましょう。今コロナ禍の影響で各方面が色々と大変なことになっていますので、私たちも、今までに増して安全に走ることを心がけています。

加えて大事な自転車を壊してしまっても、もしかしたら補修パーツが手に入らずに直すことができないかもしれない…そういった背景もありますので特に注意しています。

そして、スピードを出し過ぎないように!

スピードを出すということは魅力的で楽しいことですが、一歩間違えれば大事故につながりかねません。レースの世界では一秒を争いますが、私たちは一秒早くコーナーを回ったところで何も変わりません。とにかく安全に走りましょう。

そして、コロナ禍でランニングする方も増えています。道路には多くの方がイヤホンをしていたり、スマホの画面に目を落としていたりして、周囲の状況を把握しないままUターンしている人も見かけます。

自分だけでなく周りの人を守るためにも走行中の状況把握や安全性の確保をして自転車を楽しんでください。

事故だけは気を付けましょう。

また、コロナ禍であまり外に出ない方も多いと思います。安全に自転車に乗るためにも、外に出ない日はストレッチや筋トレにいそしむこともお勧めです。

トレーニング+サプリメントを利用して身体の栄養バランスを整え、フレッシュな体であることが最適なパフォーマンスを出すコツです。

そして、レース本番が控えているような方は自分を追い詰めないことも大切です。

自転車を楽しく乗るためには、心身の健康が一番! 自分に合った自転車で安全に走行してサイクルライフを一緒にエンジョイしましょう!

Probikeshop編集部

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