イタリアンブランド「Benelli」がプロデュースした「MANTUS 27 TRK」の魅力に迫る

老若男女を問わず欲しいモノランキングの上位にランクインするほどの人気を博しているE-Bike。今回は、イタリアに本拠を置くBenelli(ベネリ)社のニューモデル、「MANTUS 27 TRK」を取り上げ、E-Bikeについて学んでみましょう。

E-Bikeの魅力とは

サイクリングの楽しみは、できなさそうなことができること。

自転車なら陸上競技の選手の全力疾走よりも速く、そのスピードを簡単に維持にできます。この当たり前の事実にサイクリングの魅力があります。

100km先までランニングで行くのは相当なトレーニングと時間を要しますが、スポーツバイクなら少し練習するだけで100kmだって走れます。

そして、今回ご紹介するE-Bikeなら、その敷居をさらに低くしてくれます。自分の体力だけでは困難な坂だってスイスイと上れるし、遠くの海や山にも行くのだって簡単です。最新のE-Bikeは、100kmぐらい走れる製品もあります。

E-Bikeを選ぶときのポイント

スポーツバイクにロードバイク、クロスバイク、MTBがあるように、E-BikeにもそれぞれE-ロードバイク、E-クロスバイク、E-MTBがあります。どのモデルを買うかは、用途次第です。

山に行ってトレイルを本格的に走るならE-MTBに勝るモノはありません。通勤で使うなら、E-MTBでもE-ロードでも会社には行けるでしょうが、スタンドやバッグを載せるキャリアの対応などを考えればE-クロスバイクが最適です。平日は通勤や通学、週末は日帰りツーリングにも使えるので、多くの人にとって、もっとも魅力的なモデルともいえます。

前回の記事「コスパが高い注目のE-Bike「Benelli/MANTUS 27 TRK」 ~Probikeshop限定色「ブラック」が発売~」でも触れましたが、動力となるパワーユニットの違いも見逃せません。パワーユニットは大きく分けると、アシストさせる方法や場所によって3つのタイプがあります。

〈チェーン合力〉
ママチャリタイプの電動アシスト自転車に採用されているパワーユニットで、モーターの駆動力がチェーンに加えられて駆動します。
モーターが直接チェーンを駆動させるため、パワフルな加速感が得られます。バッテリーの搭載位置に制約があり、フレーム設計の自由度が低いため、スポーツタイプのE-Bikeに使われることはありません。ある意味、このタイプが装着されているモデルは“電動アシスト自転車”という区切りをしていいでしょう。

〈クランク合力〉
E-Bikeを躍進させたのがクランク合力型のパワーユニットです。車体中央部にあるボトムブラケットにユニットがあり、内部のセンサーで踏力を測定、ユニット内でモーターの駆動力とペダリングパワーを合力させます。
メリットはフロントギアを2枚することができると同時に、フレーム設計の自由度が高いこと。スポーティーなモデルを作るのに適しています。また、一分間に90回転を越すような高回転ペダリングでもスムーズにアシストが可能です。

〈ハブモーター〉
「MANTUS 27 TRK」が採用するのは、ホイールの中心にあるハブにモーターを内蔵したハブモーター型です。このタイプのメリットはクランク合力型と同じく、フレームのデザイン自由度が高いことです。小径の折りたたみ車に採用されることも多く、手頃な価格帯のエントリーモデルに採用されることが多いのが特長です。

パワーユニットの選択を見れば、車格が分かると同時に、メーカーがなにを優先したのか推測ができます。

そして、バッテリーの容量も確認しておきましょう。大型バッテリーを採用しているモデルは航続距離が長く、頻繁に充電する必要がありません。そのため、予算に余裕のある人は大型バッテリーを採用したモデルを選びがちです。

しかし、バッテリーが大きくなるということは、それだけ重くなり、運動性能は落ちます。さらにバッテリーを交換するときは、当然ながら容量が大きいほど高価です。ですので、会社との往復をしたときに、どれくらいの頻度で充電しないといけないか、アシスト航続距離を目処に考えておきましょう。

話が前後しますが、E-Bikeを買うときはメーカーのことを勉強してから買いましょう。

メカ好きの人ならモーターの出力などのスペックに目がいくでしょうが、気にする必要はありません。まっとうなブランドの製品であれば、出力不足で坂が登れないE-Bikeはありません。

気を付けるべきは、粗悪品や違法な電動自転車を買わないことです。

残念なことに、量販店やネット通販で激安で売られている製品の中には、強度に不安がある危険な製品も少なくありません。どのように見極めるかの基準は国家公安委員会の型式認定を受けているか、否か。「MANTUS 27 TRK」は普通自転車型式認定番号交A21-71、駆動補助機付自転車型式認定番号交N21-80の認定を受けているので安心です。

E-Bikeや電動アシスト自転車のアシスト量は道交法で定められており、これに違反している車両で事故を起こしたら、どうなるかは想像に難くないでしょう。

「MANTUS 27 TRK」に乗ってみて

さて、「MANTUS 27 TRK」の話をしましょう。スポーツに軸足を置くロードバイクは価格を問わず存在が“ハレ”ならば、E-クロスバイクのマンタスは“ケ”の自転車です。

15万円もするのに、“ケ”なのか! と思うかもしれませんが、最近は日用品にこそ贅沢品を…という人が増えてきており、E-クロスバイクは飛ぶように売れています。

先日も後輩からE-クロスバイクの購入相談を受けたのですが、通勤用というのに定価は40万円! しかも、フレームのカラーが選べないほど品薄の状態で、「カラーとサイズにこだわったら、いつ納車できるか分からない」とショップにいわれたそうです。

コロナ禍においてスポーツバイクの需要は大きく伸びました。国内で販売している有力メーカーの商品でも、すでに納車が2023年5月なんてアナウンスされているモデルもあり、40万円もする“ケ”の自転車が色も選べないとなると、異常としかいいようがありません。というわけで、現状、自転車選びで大切なのは、納期だともいえます。

「MANTUS 27 TRK」の美点は即納できることと、“ケ”の自転車として過不足がないことです。

高級感やスポーティーさを軸に評価を下すなら、クランク合力型パワーユニット搭載モデルにアドバンテージがあります。

ですが、通勤にスポーティーさが必要? 不要ですよね。コントロールユニットにしても、同じことがいえます。液晶画面があって、リアルタイムの出力を表示してくれるなら、もちろん嬉しいですが、そのために数千円、下手したら1万円以上も価格が上がるなら「いらない!」でしょう。

必要最小限のボタンとLEDランプで構成されるコントロールユニットも、実用品と割り切ってしまえばシンプルイズベストともいえます。その代わりと言ってはなんですが、スタンド用の直付け台座があり、スタイリッシュさを失っていないのは実用品としてはありがたい。

走り出すと、ハブモーターのアシストは、程よいトルク感を伴って、しっかりとアシストしてくれます。少し専門的な視点でいうと、トルクの立ち上がりはリニアというよりは、若干遅れてからやってきます。それ故、加速がグーンと伸びるような印象を受けます。

このタイムラグは大きいと機械に介護してもらっている感が強くなり、不自然な走行感となります。ちなみに完成度の高いクランク合力型になると、登坂で腰やお尻をそっと押してくれる感じで、機械に手伝ってもらってのではなく、軽く走れる感じがします。「MANTUS 27 TRK」のアシスト感に改善点がないとはいえませんが、価格を考えればよくできているといっていいでしょう。

航続距離のテストは、日光の金精峠を登ってみました。ルートは日光駅から標高1840メートルの金精トンネルまで。いろは坂を含む上り坂をたっぷりと登っても、バッテリーに余力を残して走破できました。これだけパワーとバッテリーの容量があれば、週末のサイクリング程度ならまったく問題なく楽しめるでしょう。

まとめ

「MANTUS 27 TRK」の最大の魅力は、すぐに入手でき、抜群にコストパフォーマンスが高いことです。

もっと高価でファッショナブルなE-Bikeもたくさんありますが、バッテリーが脱着できず、充電するために20㎏以上もあるバイクを抱えて階段を…、なんて場合もあります。

その点、「MANTUS 27 TRK」はバッテリー脱着が可能なだけでなく、ダウンチューブから直接、充電することもできます。

他にもトップチューブの傾斜が大きいため、身長の低い人でも足つき性がよく乗降性に優れています。

E-クロスバイクのベーシックモデルですから、スポーツバイクに乗り慣れた人なら物足りない部分もあるでしょう。しかし、多くのE-Bikeに乗ってきた人なら、このスペックと価格を両立させていることを高く評価するはずです。

左側のエンドにはスタンドの直付け台座があり、スマートにスタンドが取り付けられている


機械式ディスクブレーキのテクトロ・アリエスを標準装備


動力を内蔵したハブはShengyi製で250Wを発生する


ダウンチューブ下側のフタを外し、鍵を使ってバッテリーを取り出すことができる


フレームにバッテリーを内蔵したまま充電することもできる。充電時間は4〜6時間


ボトルケージ台座はロングライドのときに活躍する


座面がフラットで幅広のサドルは、安定感が高く座り心地もいい


シンプルなコントロールユニット。アシストモードは3パターンから

人間工学に基づいて設計されたハンドルグリップ。こういうパーツの良し悪しが使い勝手を大きく左右する

(写真:長谷川拓司)

本記事で取り上げている「Benelli/MANTUS 27 TRK」はこちら

<関連記事>

コスパが高い注目のE-Bike「Benelli/MANTUS 27 TRK」 ~Probikeshop限定色「ブラック」が発売~
2020年の自転車業界をベテランジャーナリストが総括!(後編)
その他の記事はこちら
コンテンツトップに戻る
ECショップはこちら


菊地武洋

菊地 武洋(きくち たけひろ)

自転車ジャーナリスト。
80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。
近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。
レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。