オールロードバイクを旅仕様に最適化してみよう!

サドルの高さをユーザーに合わせるのと同じように、走行性能もユーザーの遊び方や走るフィールドに応じてカスタマイズできるのが、ロードバイクの楽しみ方の一つでもあります。今回は、ロングライドで魅力を発揮するVOTEC・「VRC Pro」を使って、旅(グラベル)仕様にしてみました。

VOTEC・「VRC Pro」はフィールドを選ばないオールロードバイクです。

もちろんマウンテンバイクが活躍するような本格的な山道は別としても、こんなところも!? と思うようなグラベルも楽しめる設計がされています。

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そして、そのフィールドの中にはツーリングも含まれています。そこで、今回はオリジナルのVOTEC・「VRC Pro」に手を加えて、グラベルとツーリングが楽しめるようにカスタマイズしてみました。順を追って、どのように、なにをしたか説明していきましょう。

ペダルをオフロード用ビンディングペダルに!

<ペダル>

トレーニングやフィットネスライドでは、走行時のパフォーマンスを重視してロードレースで使われているビンディングペダルを使用します。

ですが、今回は、ツーリング仕様にするため、オフロード用に開発されたビンディングペダル「CRANK BROTHERS(クランクブラザーズ)・CANDY2(キャンディ2)」に換装。

ビンディングシューズを使用する場合は、SPDペダルに対応する専用のものが必要となりますが、CANDY2はクリートの装着面が4面あるのでステップイン&アウトがしやすく、初級者から上級者まで不満なく使えます。

また、踏面積が十分にあるのでスニーカーでのライドにも対応。スニーカーだと、観光や食事といったオフタイムも歩きやすく、快適性がグッと向上します。

その他 CRANK BROTHERS(クランクブラザーズ)の商品はこちら

走行フィールドと快適性を左右するタイヤ

Panaracer(パナレーサー)・GRAVEL KING SS(グラベルキングSS)」の32C
※Probikeshopにて、近日、お取扱い開始予定!

自転車をカスタマイズするうえで大切なのが、ホイール周りのスペックです。特にどんなタイヤを選ぶかによって、走るフィールドや快適性は大きく変わります。

今回は、オンロード仕様だったVOTEC・「VRC Pro」に、少々のグラベルも気にせず走れる走破性と、荷物を積んだときのことを考慮して「Panaracer(パナレーサー)・GRAVEL KING SS(グラベルキングSS)」の32Cを選びました。

中央部分はスリック、両サイドのショルダー部分は「Panaracer(パナレーサー)・GRAVEL KING SS(グラベルキングSK)」と同じセミノブを設けてグラベルでのグリップを稼いでいます。

32Cを選んだのは全体のバランスから考えた結果ですが、VOTEC・「VRC Pro」は700Cホイールなら35Cまで装着可能です。予算をかけてもいいなら650Bのホイールを新調して、さらに太いタイヤを装着することも可能。ただ、32Cでも、一般的なロードバイクよりも十分に空気量が多く走行感も軽いので、十分楽しめます。

舗装路だけでよければ「Panaracer(パナレーサー)・GRAVEL KING(グラベルキング)」、さらにオフロード性を重視するなら「Panaracer(パナレーサー)・GRAVEL KING SK(グラベルキングSK)」という選択もあります。

エアボリュームの多いタイヤは快適性が高い反面、重量が重くなってしまうのが弱点です。どのような選択をするかはフィールドと荷物の量によって違ってくるので、臨機応変に楽しむのもいいでしょう。

その他 Panaracer(パナレーサー)の商品はこちら

フレアハンドルでオフロードでも安心

ハンドルは標準仕様でもツーリングで使うのに不満はありませんが、せっかくカスタマイズするので交換することにしました。

選んだのグラベルでの快適性向上と、アドベンチャーバイク色が出せる「Red Cycling Products 21° Gravel Handlebar」。

両端が広がっているハンドルはロードバイクのレース用でも増えていますが、こちらはグラベル用なのでフラット部のショルダーとバーエンドで幅が大きく違います。リーチ76㎜、ドロップ100㎜とかなりコンパクトにまとめられており、向かい風のときにドロップポジションで走っても首や肩が疲れにくいのも魅力の一つです。

さらに人気のロールアップ型のフロントバッグ(ハンドルバッグ)を取り付けやすいのも選んだ理由の一つです。

ハンドルとサドルは使ってみないと、自分との相性が分かりにくいパーツです。わずかな差が自転車の印象さえも左右するパーツですので、いろいろな製品を使ってみましょう。自分に合ったハンドルが見つかったときの喜びはひとしおです。

その他 ハンドルバーはこちら

ちなみにバーテープはグリップ力が高く、クッション性にも優れた人気の「Supacaz Super piecesy Kush Starfade Handlebar Tape」を選びました。

その他 ハンドルバーテープはこちら

荷物合わせて、バッグを決める

人気のバイクパッキングが定着したのは、ここ数年の話。以前はバッグ用の専用キャリアを前後に取り付けて、サイドバッグやパニアバッグを車輪の横に積載していました。この方法は積載量が大きいため、本格的な長期間ツーリングでは今でもスタンダードです。

もっと手軽にツーリングを楽しみたい人たちから支持を得ているのが、大型サドルバッグやフレームバッグがアイコンとなっているバイクパッキングです。

ワンデーツーリングならサドルバッグだけ、もしくは、それにフロントバッグを足せば容量は十分でしょう。泊まりを予定していたり、写真が趣味でたくさんの機材を持って行ったり……、どれだけの容量が必要かは、通常の旅行と同じく人によって違います。

今回、装着したのは!? 4つのバッグをご紹介します。

【サドルバッグ】

バイクパッキングでもっとも容量の大きなバッグとなるサドルバッグ。台湾のアクセサリーブランドCYCLE DESIGN(サイクルデザイン)の「BIKE PACKING SADDLE BAG (バイクパッキング用サドルバッグ)」です。

脱着はサドルのワイヤベース2カ所と、シートポストの3カ所で行います。容量は5.1L(Sサイズ)、7.7L(Mサイズ)、11L(Lサイズ)の3種類。荷室の開閉はロールアップ式で高い防水性を誇ります。装着位置が高いので、着替えやシュラフなどの軽量なモノを入れるのに便利ですが、重いモノがあるときは、重心位置が低くなるように最初に入れておきましょう。

【フロントバッグ】

ハンドルにストラップで固定するCYCLE DESIGN(サイクルデザイン)の「HANDLEBAR BAG(ハンドルバーバッグ)」。容量は11.5L。荷室の開閉はロールアップ式で、素材は600Dポリエステル+TPU。サイズ:400×170×170mm。

【フレームバッグ】

トップチューブの下、フレームにバッグがあるため重量物を入れても重心が高くなりません。「Packman Travel Frame Pack - Planet」はツールメーカーとしても評価の高いbirzman(バーズマン)社製で、バイクパッキング関連の商品でも人気が高いことで知られています。容量は3Lと大きくはないですが、素材や縫製がしっかりとしているので重たい鍵などを入れるのにも便利です。

【トップチューブバッグ】

捕食やスマホなど、すぐに使いたいアイテムを入れておくのに重宝するのがトップチューブバッグです。birzman(バーズマン)の「Birzsman Packman Travel Top Tube Pack」は3つの外部ポケットがあり、容量は0.8L。

その他 バイクパッキング用バッグはこちら

“Expand your world.” 走ることが「手段」となったVOTEC・「VRC Pro」

オリジナルのVOTEC・「VRC Pro」は、レースバイクとツーリングバイクの中間的な走行感で万人受けするタイプなので、あまり重装備にしないツーリング仕様がいいだろうという予想は正しかったです。

オリジナルの状態では、もうちょっとハンドリングに軽快感があってもいいのに……と思っていたのですが、ツーリング仕様にしたら見事にネガティブな部分が解消され、とても乗りやすくなりました。これはフレームのジオメトリーもそうですが、タイヤの選択やバッグなどを含めた荷重バランスが良かったからでしょう。

今回のカスタマイズは、できるだけ予算を絞って最大の効果を出すことを目標に考えました。もっと予算を使ったら、さらに良くなるのに……と、正直、思っていました。しかし、完成車に乗ってみたら、もうこれ以上は不要かなと思います。

車重の重い自転車は制動力不足になりがちですが、アルテグラの油圧ディスクブレーキ+160㎜ローターだけあってブレーキは意のまま。さらに過激なことができるようにフレームは180㎜ローターまで対応できますが、今回の仕様であれば160㎜で十分です。

また、高級なホイールにすれば、さらに走りは軽くなるでしょうが、カーボンリムになって慎重な扱いとトレードオフするなら、どうでしょう? そこに注力するよりもその予算を旅費に回したほうが、楽しめる気がします。

旅をするうえで自転車は手段です。なので、剛性とか加速というのは、どうでもいいこと。景色を楽しむことに集中できる自転車こそ、いいツーリング車です。そういう意味においてVOTEC・「VRC Pro」のツーリング仕様のカスタマイズは成功だったといえるでしょう。

コースによって、さらなるカスタマイズの仕方もあるでしょうが、まずは、今回のカスマイズ仕様をベースに考えてみてください。バッグ以外で変更したのはハンドル周りとペダルですが、印象は大きく変わります。

オリジナルのVOTEC・「VRC Pro」は走ることが「目的」、カスタマイズしたVOTEC・「VRC Pro」は、走ることが「手段」へと大きく変わりました。

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菊地武洋

菊地 武洋(きくち たけひろ)

自転車ジャーナリスト。
80年代から国内外のレースやサイクルショーを取材し、分かりやすいハードウエアの評論は定評が高い。
近年はロードバイクのみならず、クロスバイクのインプレッションも数多く手掛けている。
レース指向ではないが、グランフォンドやセンチュリーライドなど海外ライドイベントにも数多く出場している。